生姜の事あれこれ

◇そもそも生姜とは◇

 

生姜(学名:Zingiber officinale)はショウガ科の多年草植物で、熱帯アジア・インドからマレーシアにかけ
ての南アジア原産と言われていますが、春秋戦国時代の文献に記載がみられることから中国とする見
方もあり、野生種は発見されていないようです。

    

中国では孔子の時代(紀元前500年頃)の記録があり、日本へは聖武天皇時代の天平年間よりも前に中国の呉の国(222〜280)から渡来したと言われ、古名を「クレノハジカミ」と言いますが、古事記では「山椒」を「波志加美:ハジカミ」と称していたようで、その風味が似ていることから「ハジカミ」と呼ばれるようになったと思われます。 2千年前からインドで「万能薬」として使われていたことが医学書に記載されていますし、中国でも同時代の医学書に漢方薬として薬効が重用されたと記述があり、日本に渡来したときも薬用とされていました。

『魏志倭人伝』に、倭の山にあるものとして、「薑(キョウ)・橘(キツ)・椒(ショウ)・茗荷(ジョウカ)あるも、以て滋味と為すを知らず」と記されていますが、薑は姜のことです。

『神農本草経』の中品(ちゅうぼん)にも「乾薑」という記載がありますが、当時は薑(きょう)或いは生姜(しょうきょう)と呼ばれていました。

また、平安朝時代に栽培されていたことは『延喜式』に記されていますが、「しょうが」と呼ばれるようになったのは室町時代頃からで、西暦10世紀頃には大規模な栽培が行われるようになりましたが、まだ食用とするよりは、薬で使っていたようです。

江戸時代には若い芽をつまみにしたりして、現在のように食用としたようです。

紀元前にヨーロッパに伝わったようで、西暦1世紀のころから薬用として知られており、西暦2世紀にはアラビア人によってギリシアやローマへ伝わっていき、ローマ帝国では関税の対象となりました。

 その後、香辛料としての利用が広まり、13〜14世紀には一般的となりましたが、ヨーロッパでの栽培はほとんどありません。

 16世紀の初めにはスペイン人がジャマイカに移植し、ヨーロッパやアメリカなどに大量に輸出されるまでになりました。

 19世紀末期、イギリスの居酒屋で粉末にしたしょうがを入れたビールを飲ませるようになりましたが、これがジンジャーエールの起原となりました。

◇生姜のいろは◇

 

生姜の種類

 日本で栽培されている生姜の品種は大別して大しょうが、中太しょうが、小しょうがの3種類に分類されます。 漬物や菓子用に使われる大しょうがは生育旺盛で大株となり、地下茎の瘤の肥大も良く、収量もあがります。 中太しょうがは大しょうがと比べると地下茎の瘤が少し小さめで、辛味も強く、繊維質が早く形成され硬くなりますので、佃煮や魚の加工食品などに使われます。 小しょうがは地下茎の瘤が相当小さく辛味生成が早いので、今は早掘りして葉しょうがにするのが一般的です。


生姜の呼び名』

根しょうが
 「新しょうが」は、収穫したばかりですぐに出荷する生姜で、歯切れがよく、香気があって辛味が強くないので、甘酢生姜や紅生姜、味噌漬、粕漬、砂糖漬などにしますし、精進揚げにしたりもします。 「老成(ひね)しょうが」(古しょうが)は種子にする生姜や、貯蔵して翌年出回る生姜で、辛味が強く、細かく刻んだりすりおろしたりして、料理の薬味に、魚や肉、レバーなどの臭み消しに、また、酸化防止の働きがあるので、中華料理では味と香りをだすだけでなく油の酸化を防ぐために生姜を入れます。 クッキーなどのお菓子類でも同様の効果がありますし、甘酒に入れられたりもします。

日本での主産地は、千葉、高知、長崎。

筆しょうが
 「芽しょうが」とも呼ばれており、太陽光線をさえぎって栽培し、茎が15cmくらいになったら日光を当て、葉が開き始めたら収穫するもので、刺身や焼き魚のツマや漬物に利用します。

主産地は、千葉、埼玉、愛知。

葉しょうが
 小指大くらいになった新しょうがの葉をつけたままのもので、甘味噌をつけて食べます。

主産地は、関東、東海地域で、谷中しょうがはよく知られています。


世界の産地

 日本以外では中国、タイ、ジャマイカに多く、その他インド、スリランカ、ミャンマー、ベトナム、インドネシア、ヒィリピン、オーストラリアでも栽培されています。

◇生姜の成分◇

 

 辛味成分・・・・・ジンゲロール、ショーガオール、ジンゲロン

 芳香成分・・・・・ジンギベレン、ジンギベロール、フエランドレン、カンフェン、
           ボルネオール、リナロール、シトラール、シオネール


 水分 89.1g  たんぱく質 1.5g  脂質 0.5g 炭水化物(糖質) 7.2g 繊維 1.2g  カルシウム   12mg  リン 14mg  鉄  0.5mgビタミン B1 0.03mg  B2 0.03mg  C 2mg

 他に、ナトリウム・カリウム・マグネシウム・リン・ビタミンE・亜鉛・ナイアシン等

◇生姜の効能◇

 

生姜の働き

 生姜は非常に高い抗酸化作用をもっているといわれ、身体の活性酸素を消去し、老化防止、ガンの予防に効果的に働きかけることがわかっています。

 生姜は強力な抗血餅化合物であるアスピリンとよく似た化学構造を持った物質で、血液細胞でトロンボクセイン(血小板の凝集を促進させる物質)が合成されるのを効率よく抑制すると言われます。

 この抗凝血物質(血液の粘土を下げる物質)は、ジンゲロールだと考えられています。

 また、生姜を噛むとどんな薬よりも乗り物酔いに効くと言われますし、豚肉の生姜焼きに代表されるように肉を柔らかくする作用や、魚・肉の臭みを消す作用があります。

 特にジャポニカ種の生姜に含まれるアントシアニンはポリフェノールの一種で、抗酸化作用があり、抗ガン作用があると言われますし、血液をサラサラ状態にする効果があります。

 ジンジャーティーは、胃を温めて食物の吸収を助ける消化促進作用があり、吐き気をおさえる効果があります。

 西洋でもジンジャーエールのような飲料として使われ、また胃腸のクスリとしても用いられてきました。

 インドでは、ミルクティーにシナモンや生姜汁を入れたチャイが有名です。

生姜の薬効

 生姜には、ビタミンB1、B2、Cなどが微量に含まれる程度で、栄養成分はそれほど多くありませんが、生姜に含まれる辛味成分のジンゲロン(ジンゲロール)・ショウガオールは胃液の分泌を促して、消化吸収・食欲増進などに効果がありますし、血管を拡張させて血液の循環を良くしますので内臓全体の働きを活発にしますし、冷え性を防ぐことが出来ます。

 体を温める働きがあるので、冷えからくる腎盂炎や膀胱炎に効果があるとも言われています。

 また、新陳代謝を活発にし、発汗作用を高める働きがありますし、循環器系強壮作用、吐き気・つわりを改善する効果や、プロスタグランジンの合成を阻害して炎症を抑え、ガン細胞(特に大腸ガン)の増殖を抑制する作用も確認されています。

 特にジンゲロンには強い殺菌力があるので、魚や肉の臭みの成分と結合して臭いを消す作用がありますし、食中毒の原因である魚に寄生するアニサキス等を死滅させる事が出来るほか、腸チフス・コレラ菌に対する抵抗力が増すことも知られています。

 お寿司と一緒にガリを食べる習慣があるのは先人の知恵なのです。

 芳香成分はシネオール、ジンギロール、ジンギベレンなどの精油成分によるもので、疲労回復・夏バテ解消に役立ち、健胃作用、解毒作用、消臭作用があります。

 また、発汗解熱、咳止め、消炎、保温作用などがあり、のどが痛む、痰が出る、食欲が無くなる、寒けがするといった風邪の初期症状に効果があります。

 唾液の分泌を良くしますし、タンパク質分解酵素もありますので、食欲を増進させ消化を良くする働きもあります。

 また、吐き気止め、冷え性の改善、リウマチ・神経痛の緩和、コレステロール値の低下や、血液の粘度を下げ血圧降下にも効果があります。


漢方の生姜

 漢方では「生姜は百邪を防御する」と古書にあるほど古くから生薬として利用され、数多い処方中に生姜または乾姜を配合したものは55%以上に達しています。

 干した生姜は鎮痛、鎮咳、解熱作用が強く、その効果が生より数倍も高いため、現在も風邪薬によく配合されています。

生姜(生の生姜)
 健胃・解毒・解熱・吐き気止め・むかつき・鼻づまり・咳を鎮めるなどに有効とされています。

乾姜(生姜を蒸してから乾燥させたもの)
 乾燥させた生姜は、生の生姜よりも身体を温める効果が高くなり、体の新陳代謝を活発にし、保温効果もよく、風邪・せき、腰痛、腹痛・下痢をはじめ、冷え性や夜尿症にまでその効きめを発揮します。

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